木下さんがハナブサレザーを立ち上げようと思われたきっかけを教えて下さい。
大学卒業後はかねてからの夢であったニュージーランドでラグビー留学をしました。この時異文化を知ることで自分の中で初めて「日本人」というものを意識し始めました。 無事ラグビー留学も終わり日本に帰って就職したわけですが、偶然にもベルトメーカーに勤めることになりました。以前から趣味でレザークラフトをしていた私にとって大好きな革に囲まれて、初めて扱う本格的な道具・技術を教えてもらう環境はとても最高な場所でした。 好奇心旺盛な私は、ベルトだけでは飽き足らず更に独学で財布やバッグを作ることで心にできた欲求を埋めていきました。それから会社に勤めて3年が過ぎた頃日本全体に襲った不景気の波が当然のごとく私の勤めていた会社にも押し寄せ、私は第二の職場を探しました。 時代の流れか安定を求め税理士事務所に勤めました。そこでは今まで歩んできた道と全くかけ離れた世界でしたが色んな資格を取らせていただき仕事も覚え、とても楽しく仕事をこなしていました。 しかし大学時代に魅せられたハンドメイドの革小物の魅力が忘れられず自分の名前の一字を取ったHanabusaLeatherを設立しました。正直言うと特にこの仕事をやりたいという事ではありませんでしたが、家族をはじめ周りの方の協力もあって自然の流れで気づいたらこの仕事をしていたという感覚の方が強いです。 その自然の流れが不思議で仕方がありません。自分の来るべき場所に何か不思議な力で寄せられたとう感覚です。人は必ず何か目的を持って生まれてきていると日に日に思うようになりました。私は革小物を作ってお客様を喜ばせるために生まれてきたのかもしれません。今はそのことを自覚して仕事をしていますのですごく心身共に充実しています。とにかくお客さんに喜んで頂くために一生懸命革小物を作る。それがいつしか生き方に変わっていました。 ハナブサレザーの商品の魅力はどんなところですか?
ハンドメイドって何か温かくて、それを持っていると何か作り手の気持ちや想いが伝わるというかうまく伝えられませんがとても幸せな気分になります。そうですね。バレンタインデーに市販のチョコレートをもらうより手作りのチョコレートをもらった方が何か伝わるものがあってうれしいですよね。 まさにそんな感覚に似ているかもしれませんね。革も知れば知るほど奥が深くて同じ革でも場所によって表情は違います。革は同じ財布でもその人の扱いによって全く違った財布になります。大げさですがその人の人生みたいなものが表れます。 そしてそれが更に革の味となって表れます。今私には3人の子供がいますが、革小物を大事に使うことは何か子供を育てる感覚にも似ています。 一生使えるから大事に使いたい。大事に使うから味がでる。それが革小物の魅力です。また天然素材の為作り手としてはとても苦労します。ここの部分の厚みは何ミリとマニュアルを作っても、革の腰、状態で全くクオリティーの違うものが出来てしまいます。
これは経験がものをいうまさに匠の世界なのですが、そうすることでその革の素材を最大限に生かしたクオリティーの高い商品ができあがります。だから一生使える商品が生まれるのです。 そんなこともあって私はひとつひとつの商品と真剣に向かい合って作り上げています。真剣に取り組みたいからこそブランド名に自分の名前の一字をいれました。自分の名前を入れるからには粗末なものは作れませんからね。 商品のメインは手縫いですが手縫いの魅力は商品に温かみ・やさしさが生まれるんです。私の好きな歌手中島みゆきさんの「糸」という歌のフレーズに「逢うべき糸に出会えることを人は仕合せと呼びます」というのがあるのですがそのフレーズを心に想いながらひと針ひと針縫っていくと「あっ、この糸はこの糸と出逢えたんだ」と何か感極まるものがあります。そんなこともこの商品の魅力のひとつです。 中島みゆきさんが好きというところが店長の櫻井と同じでした。木下さんのこれからの展望をお願いします。 今は小物中心に作っていますが、落ち着いたら鞄なども手がけていきたいと思います。HanabusaLeatherの商品のテーマは「温もり」「やさしさ」です。今は一般のお客さんに受けるために「トレンド」を取り入れていますが、いずれは「文化」を1つのキーワードにとして「文化」を取り入れながら新しい形の革小物を作り上げたいと考えています。 文化とは日本の文化のことです。私はNZで1年間異文化交流に触れることで「日本人」を意識するようになったことは先にも述べました。知れば知るほど日本文化や日本人の感性ってすごいなぁと思えるんです。 日本人って異文化をそのまま受け入れることはなく必ず日本の環境に適したものにアレンジしてしまいます。その能力はすごいと思います。また日本人は紅葉を見て美しいと思える。紅葉は言ってみればもう枯れている葉っぱです。でもその枯葉を美しいと思える感性が世界に誇れる感性だと思います。私はそんな「日本人」の美しい感性を革小物を通して世界に伝えたいと考えています。 全ての日本人にとって大事なものを思い出させてくれる感性で革小物を作られているんですね。貴重なお話をありがとうございました。
革職人 木下英幸氏の商品一覧
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大学生の時、上野のアメ横でハンドメイドの革小物の魅力に取り付かれてしまい、それを機に独学でレザークラフトを学びました。そして物作りの面白さにもはまっていきました。
HanabusaLeatherの魅力はなんといってもハンドメイド・手作りという点です。そしてそれに革の素材自体の魅力も融合して既製品にはない独特な商品になっています。
大量生産型の商品にはよくこういうことがあります。私は厚みを計る道具に頼らず必ずひとつひとつパーツを手で触って腰を確かめ、その革の最も適した厚みを判断します。





